ものがたり

「GREEN HILL FARM」 佐藤 俊作さん

GREEN HILL FARM

茨城県常陸太田市里美地区の中心地から車で30分ほど。福島県との県境にほど近い、里川と呼ばれる小高い丘が続く地域に“GREEN HILL FARM”はあります。経営するのは、若手酪農家の佐藤俊作さん。数年前に創業した父親から牧場を受け継ぎ、2代目酪農家として活躍されています。

豊かな自然が残る里美地区には、あわせて6軒の酪農家が活動しています。そのうち同世代の若手酪農家がいる牧場は3軒。佐藤さんが経営する”GREEN HILL FARM”のある里川地区には2軒あり、お互いに協力しながら仕事をしているのだそう。分からないことがあればすぐに相談できる頼もしい存在です。

GREEN HILL FARM

佐藤さんの牧場に足を運ぶとまず目に飛び込んでくるのは、鮮やかな色彩のアーティスティックな牛のモニュメント。すぐとなりにある “GREEN HILL FARM”の手づくりの表札も印象的です。

学生時代、京都にある美術大学でグラフィックデザインと写真を学んでいたという佐藤さん。大学で写真を学んだことをきっかけに、卒業後は、東京にある貸スタジオにカメラアシスタントとして就職。厳しくも刺激のある環境で2年半下積みを経験したあと、個人で活躍する写真家に弟子入りし、その後はフリーのカメラマンとして活躍されていました。

GREEN HILL FARM

「学生のころは、東京とか関東近郊に仕事をみつけて、老後は地元に帰ってこようかなと思っていたんですよね」そう漠然と考えていたという佐藤さん。東京で忙しい日々をおくりながら、ちょうど30歳という人生の節目を迎え、里美へのUターンを決意しました。

GREEN HILL FARM

まず、就農当時のことを伺ってみると、「就農したてのころは、自分一人で車を運転して北海道の酪農家を見て回ったりしていましたね。酪農家の方に牛舎を見せてほしいと自分で連絡をとって。青森からフェリーに乗って行きました」当時を思い出しながら楽しそうに話す佐藤さん。

「あと、今年も行くんですけど、当時アメリカ中の有名な牛が集まるコンテストなんかも見に行って勉強していましたね」と、力強く続けます。デザインや写真で培った持ち前の“探究心”で就農当時から変わらず行動し続けているのです。

GREEN HILL FARM

現在、就農して7年目になるという佐藤さん。牧場では、全部で60頭弱の乳牛を飼育しています。就農してからの佐藤さんは、東京でのカメラマン時代とは違い、まさに牛が中心の生活スタイル。

朝と夕に2回行なう搾乳作業は、日々の欠かせない作業のひとつ。早朝4時半に起床し、午前5時から2時間半ほどかけて搾乳作業を行います。そして、自分たちの朝食と休憩をはさみ、午前11時から1時間ほどかけて、牛にお昼の餌をあたえます。その後、夕方の4時半から2時間半ほどかけて再び搾乳作業を行うという、規則正しい毎日をおくっています。

佐藤さんの牧場では、1日に1000リットルもの生乳を出荷。搾乳した生乳は牛舎内のパイプを通り、牧場内にあるタンクに貯められていきます。

GREEN HILL FARM

牛は、四つの胃を持っていて、一般的に“反芻動物(はんすうどうぶつ)”と呼ばれています。“反芻(はんすう)”とは、一度飲み込んだ食べ物を再び□の中に戻して、再咀嚼(さいそしゃく)すること。この反芻の際に牛の体内温度が上がるため、どちらかというと気温の低さより気温の高さに弱いのだといいます。

GREEN HILL FARM

もうひとつ、牛はきれい好きな生き物のように考えられますが、実は自分の周りを汚すのも大好き。気温だけでなく湿度にも非常に敏感です。里川地区は、夏は気温32度ぐらいになりますが、里美地区中心部よりも少し標高が高いため、冬はマイナス13度ぐらいになり、頻繁に雪が積もる地域なのです。

GREEN HILL FARM

牧場では、約2週間から3週間に1頭の割合で子牛が生まれ、年間でいうと50頭もの新しい命が誕生しています。母牛のお腹の中にいるのは、だいたい290日。母牛が自力で出産できない危険な状態のときは、佐藤さん自らが立ち会って、昼夜を問わず手助けすることもあるのだそう。

生まれたての子牛の体重はだいたい40キロ前後。生後3時間ほど経つと、自らの足で立ち始めます。その後、2歳に成長するころになると子どもを産めるようになるのです。

GREEN HILL FARM

取材中、何気なく辺りを見回すと目に入ってきたのは、牛舎入り口の壁にペイントされた“GREEN HILL FARM”のロゴ。学生時代にデザインを学んでいた佐藤さんらしく、自らスプレーでペイントしたという。ところどころ擦ったような文字の色味が、壁の塗装と重なって独特の風合いを出しています。

佐藤さんが幼いころは、牛舎の中で働く両親を見ながら、ここの入口に座ってお弁当を食べたり、遊んだりしていたという当時の思い出も教えてくれました。

GREEN HILL FARM

牛にあたえる飼料については、購入するもののほか自分の土地で飼料用に草を栽培しているのだそう。もちろん、運搬用のボックスにも手製のロゴのペイントが。どこにでもありそうな四角い箱がちょっとした工夫で愛着がもてる道具に生まれ変わります。こういった何気ないところに佐藤さんのこだわりを感じます。

GREEN HILL FARM

最後に酪農という仕事について訊ねると、「うちのような個人経営の酪農はすべてが自己責任になるので、もちろん大変なところはあります。ただ、やりがいはありますし、楽しいですよ」そうにこやかに話す佐藤さんの周りに流れているのは、都会にはないゆるやかな時間。数年前に結婚もし、子どもにも恵まれ、充実した日々をおくっているという。

GREEN HILL FARM

佐藤さんを含む近隣の酪農家の方々が生産している生乳は、一部、“のむヨーグルト”や“ジェラート”などの乳製品に加工され販売されています。里美の観光客だけでなく地元の人々にも人気のある商品です。濃厚な生乳のコクがそのままで、おみやげにもおすすめ。里美地区にお越しの際は、是非お召し上がりください。

里美のむヨーグルト

■里美のむヨーグルト
里美高原の搾りたての牛乳を85%以上使用し丹念に発酵させた、さっぱりながらコクがある非常に濃厚な味わいが特徴の「里美のむヨーグルト」。全国にリピーターをもつ里美を代表する人気商品です。
・容量:150ml / 販売価格:173円
・容量:500ml / 販売価格:410円
・容量:900ml / 販売価格:580円
http://satomimonogatari.jp/gourmet/satomi_yogurt_drink/

里美ジェラート

■里美ジェラート カップ
雄大な自然のパノラマが広がる、里美高原の牧場で育った牛から搾った生乳を使用した、さっぱりした味わいのアイスクリーム。バニラのほか、ブルーベリー、パンプキン、ごま、ゆず、抹茶など種類が豊富。観光客だけでなく地元の人も愛する逸品です。
・容量:120ml / 販売価格:173円
http://satomimonogatari.jp/gourmet/satomi_gerart_cup/

2016年06月27日 月曜日

里美でつくる人