ものがたり

「若駒つりぼりセンター」 荷見 誠さん

荷見誠さん正面写真

茨城県北を流れる里川の源流域に位置し、里美地区のなかでも最北にある里川町。今回お話を伺ったのは、牧場や山林など豊かな自然に囲まれた場所にある茨城県内で最も古いつりぼり“若駒つりぼりセンター”を営む荷見誠(はすみまこと)さん。生まれも育ちも里美で、ずっと里美村役場に勤務していた荷見さんに、定年後も携わってきた地域づくりについてお話を伺いました。

 

茨城県内最古のつりぼり“若駒つりぼりセンター”

若駒つりぼりセンター

荷見さんが営む“若駒つりぼりセンター”は、1968年に荷物さんの父親が開業。来年2018年にはちょうど創業50年を迎えます。広々とした敷地で飼育しているのはニジマス、イワナ、ヤマメ。周辺に流れる水の音が心地よく響く、里美のおすすめのスポットの一つです。

若駒つりぼりセンター横の小川

つりぼりのすぐ側にはきれいな小川が流れていて、毎年夏になると地元の人たちが集まるイベントが開催されます。7月上旬から9月にかけては申し込みがあれば、魚のつかみ取りなどの体験も受け入れているそう。

「昔は、ここの川の水量が倍はあったんですよ。でも、牧場の開発で木を切ったりしてずいぶん水が少なくなってしまいました。最近は、地域の人たちが周辺に木を植えたりして、森づくりに取り組んでいるので、だいぶ水の量も戻ってきたんですよ。」

若駒つりぼりセンター外観

干し柿

 

固有種である“里川カボチャ”をみんなで守る

荷見誠さん正面写真

今から約60年前の1956年には約3800の人口がいた当時の里美村。その後60年代から70年代にかけて8,000人以上に増加します。しかし、隣接する常陸太田市と合併し里美地区となった2004年時点で約4800人にまで減少。現在、2017年時点では、3000人をきろうとしています。

里川カボチャ

こういった状況をなんとか打開しようと動いてきたのが荷見さんたち地元の人たちです。

「平成19年に国から特定の過疎地域に対して実態調査があったんです。将来的に限界集落になるであろうという地域にコンサルタントなどが入りまして…。調査を進めるうちにこの地域では、昔からおいしいカボチャがとれるということで地域産物のひとつとして復活させて、大々的に何かできないかということで動き出しました。」

里川かぼちゃの畑

荷見さんたちはこの里川カボチャを地域産物としてあらためて見直そうと2007年に“里川カボチャ研究会”を発足。現在25名の会員で活動しながら、少しずつ生産量を増やし、最近では約5トンのカボチャを生産しているといいます。

里川カボチャ

薄いピンク色の表皮をもつ里川カボチャの収穫は毎年11月ごろ。普通のかぼちゃの旬が7月なのに比べて、日本で最も遅い時期に収穫するのが特徴です。もともとは昭和のはじめごろ、戦後の食料難対策として積極的に栽培されました。場所を選ばず自生するため”土手カボチャ”とも呼ばれ、地域の食卓で親しまれてきたそうです。

しかし、近年になると他種との交雑により普通の緑色のカボチャと交わるなど、本来の色合いや風味が失われかけていました。そこし動き出したのが、荷見さんたち“里川カボチャ研究会”の方々です。

荷見誠さんと学生たち

地域と行政、学校が連携しながら、現在も活動は続けられています。6年前から茨城大学では、毎年、種を植え付けし、定期的に手入れをしながら秋に収穫しています。一昨年からは、水戸農業高校の受け入れも開始し、カボチャを使ったスイーツづくりなどにも取り組んでいるといいます。

普通のカボチャよりも繊維が少なくなめらかで甘みのある里川カボチャは、煮物やサラダはもちろん、プリンや羊羹などスイーツをはじめとした加工品にも最適なのです。

里川カボチャ焼酎

スイーツ以外の加工品では、カボチャの風味が楽しめる“里川カボチャ焼酎”も人気の商品。カボチャを井戸水でよく洗い、四つ切にして種とヘタを取り除き、大型蒸し器で蒸し上げて仕込みます。

米麹には黒麹菌を使用。最新の減圧蒸留機にて低音蒸留することでカボチャ本来の甘く軽やかな香りを楽しめる焼酎に仕上がっています。ロックでも水割りでも好みの飲み方で独特の香りを楽しむことができるおすすめの商品です。

川遊びしている子どもたち

取材の最後にこれからの里美について伺うと…。

「里美だけではなくて全国どこの中山間地域も大変な状況は続いているんですけど、里川地区に限っていうと高齢化率は里美のなかではそれほど高くはないんですよ。最近では、跡継ぎの若い人も帰ってきているんです」そう嬉しそうな表情で語ってくれた荷見さん。生まれ育った里美のために、自分たちができることを地道に取り組んできた結果が、若い人たちに伝わってきているのかもしれません。

荷見誠さん

 

■若駒つりぼりセンター
住所:茨城県常陸太田市里川町842
営業時間 10:00〜17:00
定休日:年中無休(不定休)
対象魚:ニジマス、イワナ、ヤマメ
駐車場:12台程度、大型駐車可能
TEL:0294−82−4001
http://www.kanritsuriba.com/cgi-bin/ibaragi/wakakoma_tc/profile.cgi

2017年09月13日 水曜日

里美に生きる人