ものがたり

「井坂酒造店」 井坂 統幸さん

井坂酒造店

「やっぱり、お客さんにおいしかったと言っていただいたときが嬉しいです。遠方のお客さんでも、わざわざ里美に買いに来てくれる方もいるんですよ」。穏やかな物腰でそう話すのは、里美の小中地区にある井坂酒造店12代目の井坂統幸(むねゆき)さん。2015年の夏、小学校まで過ごした地元の里美に戻り、現在は父親の勝安さんに付いて、修行の日々をおくっているのだそう。

もともとは、東京で8年間システムエンジニアとして働き、忙しい毎日をおくっていた統幸さん。地元に戻ってからの生活の変化について尋ねると「東京で働いていた時代とまったく違いますね。毎日、新しい発見があって楽しいです。前職と違って体力仕事が多いので、ぐっすり眠れます(笑)」。

井坂酒造店

井坂酒造店の創業は、江戸末期の1818年(文政元年)。2年後の2018年になんと創業200年を迎えます。蔵元を訪れると歴史を感じさせる風格ある建物が迎えてくれます。

井坂酒造店

訪れてまず目に入ったのは、門の軒先に吊るされた杉玉(すぎだま)。これは、スギの葉を集めて球状にしたもので、酒林(さかばやし)とも呼ばれているそう。もともとは、酒の神様に感謝を捧げるものであったとされています。緑の杉玉を吊すことで、人々に新酒が出来たことを知らせ、やがて枯れて茶色がかってくると、新酒の熟成の具合を想像させるのだといいます。

井坂酒造店

門をくぐり敷地を奥に進むとあらわれるのは、自宅の横に併設されたお酒の仕込み蔵。空に向かって長く伸びた煙突が蔵元ならではの雰囲気を出しています。この仕込み蔵の背後は裏山になっていて、雨が降り山に蓄えられた水が地中にゆっくりと浸透していくのだそう。

井坂酒造店伏流水

裏山でろ過された伏流水を使用してつくられる井坂酒造店のお酒。里美の豊かな水と空気が酒づくりには欠かせません。仕込蔵に足を踏み入れると、蔵のなかに流れ落ちる水の音が心地よく響き渡ります。

井坂酒造店

毎年1月中旬から2月中旬に仕込みに入り、新酒が完成するのは3月中旬ごろ。使用している原材料はすべて、こだわりの美山錦、千代錦などの国産米、国産米麹。最初に水を張って米を浸し、その後せいろでふかす工程に入ります。米を水に浸すのは、長すぎても短すぎてもダメだという。ふかしも経験が必要な作業で、多いときで700キロもの米を一度にふかすのだといいます。

井坂酒造店

井坂酒造店の仕込みは3段階で樽1本の仕込みをする「3段仕込み」という方式。樽に入れて20日から30日ゆっくりと熟成させた後、絞りという工程に入ります。酒づくりは、仕込みから完成まで数ヶ月かかり、扱う原料も生きているため、仕込みの時期は特に気が抜けない作業が続きます。

井坂酒造店

「まだまだ経験が必要ですけど、頼りにしていますよ」。息子さんについて聞かれてそう語るのは、統幸さんの父親であり、井坂酒造店11代目の勝安さん。

「人間も一人ひとり顔が違ったり性格が違ったりするように、麹もそれぞれ個性があるんです。だから、麹米のふかしには今でもかなり気を遣いますよ。分量や時間などの数値的なところはもちろん、経験がとても大事なんです」。

気温や湿度をはじめとした様々な条件がその土地ごとに異なるため、米の浸しやふかしなどの作業には、それぞれの蔵元ならではのやり方があるのだそう。里美の土地で長年培ってきた井坂酒造店ならではのやり方で、今後もおいしいお酒をつくっていきたいと、会話の最後に話してくれました。

井坂酒造店

蔵元には店舗が併設されているので、その場でお酒を購入することができます。店舗内部の壁に掛けられていたのは、地元の清酒品評会で受賞した際の記念額縁。刻まれた大正5年という年号が、その歴史の深さを物語ります。

純米酒 日乃出鶴

様々な種類のなかで、一番のおすすめとして教えてくれたのが、純米酒「日乃出鶴」。米の甘みと旨味を生かした清酒で、口当たりがとてもよく、お酒が初めての方にもおすすめです。金色に輝くラベルの文字が美しく、リーズナブルな価格で購入しやすいお酒です。

古代さけ 紫しきぶ

もう1点、ただいま売出中というのが、古代米でつくられた古代さけ「紫しきぶ」。 “朝紫(黒米)”という古代米を使ってつくられた清酒です。美しい薄紅色が特徴で、ポリフェノールの一種であるアントシアニンを多く含み、ビタミンB1・B2・E、ナイアシン、鉄、カルシウムなどのミネラルも多く含みます。甘口ながらすっきりした味わいで、デザート酒感覚でも楽しめます。おみやげにも人気があるそうです。

井坂酒造店

ご紹介したお酒は、楽天市場などの通販をはじめ、東京・有楽町にある「茨城マルシェ」でも購入することができます。もちろん、里美にある井坂酒造店や直売所でも購入することが可能です。酒蔵見学なども随時受け入れているそうなので、是非足を運んでいただき、周辺のスポットとともに里美の蔵元ならではの雰囲気を味わってみてください。

 

■井坂酒造店
住所:茨城県常陸太田市小中町187
TEL:0294-82-2006
FAX:0294-82-2006
MAIL:tsuru-isaka@clock.ocn.ne.jp
URL:http://www.isakasyuzou.co.jp

◎楽天市場
http://www.rakuten.co.jp/isakasyuzou/index.html

◎茨城マルシェ
http://ibarakimarche.com/

2016年05月14日 土曜日

里美でつくる人